Thu 2010-08-05

この時期、ロバート・スミスは、
フィクション・レコードのオーナー、
クリス・パリーの勧めにより制作された、
ファンタジー三部作と呼ばれる三枚のシングル、
「Let's Go To Bed」「The Walk」「The Lovecats」が、
スマッシュ・ヒットを記録しました。

この三部作の成功は、ロバート・スミスを、
「Pornography」の呪縛から解放します。

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Japanese Whispers 1983y

上記の流れで、通称「ファンタジー三部作」を収録した、
日本限定のコンピ盤「Japanese Whispers」リリース。

暗鬱なイメージで捉えていたファンの間で、賛否両論を呼んだものの、
バンドが新たな局面へ向かおうとしていることが窺える内容となりました。

この時期ロバート・スミスは再びスージー&ザ・バンシーズの一員となっており、
6thアルバム「Hyaena」では正式なギタリストとしてクレジットされ、
ツアーにも参加しています。そして、度々解散をちらつかせていましたが、
結局キュアーをとり、旧友ポール・トンプソン、黒人ドラマーのアンディ・アンダーソン、
「Pornography」のエンジニアだった、フィル・ソーナリーを新メンバーとして迎え、
キュアーの本格的な活動を再開します。

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The Top 1984y

5thアルバム「The Top」リリース後、
1984年10月には中野サンプラザと大阪サンケイホールにて初来日公演が行われます。

このアルバムは上記の「ファンタジー三部作」の流れを継承した、
ポップかつ実験的な作風で、リコーダーの音色や民族音楽の要素、
さらには8ビート以外のリズムも積極的に取り入れたりと、
これまでのダークサイケなバンドのイメージとは一線を画する内容です。

「The Caterpillar」は当時MTVでプロモが良く流れていて、
ピアノと弦楽器の調子外れな音で始まり耳に残った一曲。
先のシングル「ラヴキャッツ」のプロモと合わせ、
ロバート・スミスというキャラクターのイメージが日本に浸透しました。

ちなみに「ザ・トップ」のツアーを収録した、
ライブアルバム「コンサート」はとてもソリッドで良。
是非、両方セットで聴いてみては如何でしょう?

とにかく、キュアーは、メジャー街道を進み始めます。

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The Head On The Door 1985y

新しいドラマーにボリス・ウィリアムスを向かえ、
サイモン・ギャラップがベーシストに復活しての 6th アルバム。

ロバート・スミスはスジバンでの活動に区切りをつけ(追い出されて?)、
キュアーに専念、黄金期キュアーのラインナップが揃います。

作風としては、さらにポップセンスに磨きがかかり、
まずはニュー・オーダーを彷彿とさせる
爽やかニューウェイヴな「In Between Days」で景気良くスタート。
「Kyoto Song」は文字通り、京都ソング・・て、ゆーか演歌、
続く「The Blood」ではのっけからフラメンゴギター炸裂、 
その後も個性溢れる曲のオンパレードで、
アルバム展開なんか気にしない、やりたい放題の一枚。

しかし、このアルバムは前作と違って、曲1つ1つの完成度が高く、
存在感も十分、歌メロもキャッチー。そして的を得たアレンジの数々。
前作では空回り気味で終わった実験的な試みが、実を結んだ結果でしょうか。

多彩すぎて全体の統一感に欠けるので、
キュアーの代表作と位置づけるには貫禄不足ですが、
ロバート・スミスの才能が開花した中期の傑作です。

英国のカルトバンドに過ぎなかったキュアーが、
新生キュアーの躍動感と充実感がある力作で、
バンドの世界進出の足がかりとなります。

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Standing On A Beach - The Singles 1986y

※CD盤

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Staring At The Sea - The Singles 1986y

※LP盤

ここまでのキャリアを振り返る、前期キュアーのシングルベスト。

曲がリリースの古い順に並んでいるので、作風変化の軌跡を辿れるのは勿論のこと、
オリジナルアルバム未収録曲も多数収録で、聴く価値ありまくり。

全部で17曲収録されているこのアルバム、
1~10の「モノトーンの質素な前半」と、
11~17の「色味のある工夫の後半」に二分できますが、
こうやって集めてみると初期のシングルは、
ドラムがイソイソと刻むハイスピードな曲が多いです。
後半の曲はシンセや弦楽器が実験的に導入されていてポップな印象。

ただしポップでも薄暗いポップさで、お部屋の中で遊んでいるイメージ。

後期にリリースされるベスト「Galore」収録のポップソングとは別物です。

当時の音楽シーンの最先端を行く珠玉の名曲がズラリ並ぶオススメの一枚。

「Boys Don't Cry」怪人マンソンも心を打たれた、
79年発表の傑作シングル曲(オリジナルアルバム未収録)。
メジャーコードのメロディーは素晴らしくキャッチーで、シンプル・イズ・ベスト。

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Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me 1987y

オリジナルは2枚組の大作 7th アルバム。

全英6位、全米でも初めて50位以内(35位)にチャートインを果たし、
キュアーの代表作として位置付けられるアルバムです。

内容的には前作で見せたバラエティ溢れるポップ路線を押し進めたもので、
「Why Can't I Be You?」や「Hot Hot Hot!!!」では、
ファンキーな一方、ゴスの雰囲気を残したダーク系楽曲も並び、
ギターロック、キーボードサウンド、民族音楽といった様々な音楽要素が彩る、
まさにキュアーというバンドの魅力を凝縮した一枚と言えます。

とにかく多彩。まあそれだけにまとまりには欠けるのですが、
純粋に曲一つ一つを楽しめば良いのでしょう。

「The Kiss」オープニングを飾る半インスト曲なんですが、
すげーカッコイイんです。ワウワウと悲鳴を上げるギターが印象的な一曲。

キュアーを英国のカルト・バンドから、
世界的なロック・バンドへと推し進めることになり、
さらにこの時期に二度目の来日を果たしているんですが、
しかし、ライブはなく、プロモーションのTV番組に出演するのみでした。

そして誰もが、今後のキュアーはこの路線を突き進んでゆくものと思っていたが、
ロバートの出した回答は全く逆のものであった。

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Disintegration 1989y

8th「Disintegration」は原点回帰ともいえる、
かつてのキュアーを彷彿とさせるような陰鬱とした内容で、
いわゆる商業的路線から、大きく方向転換。

キュアーはカラフルなポップバンドである・・という、
当時定着しつつあった世間的な認識を見事に裏切った一枚。

当時、アルバムの内容に難色を示したレコード会社は再考を迫りましたが、
ロバート。スミスはそれを無視してリリースを強行。
ところが、レコード会社の心配をよそに、
「Disintegration」は全世界で300万枚を売り上げる大ヒットを記録、
シングル曲の「Love Song」は米国で2位を記録。

本作をキュアーの最高傑作に挙げるファンも多いです。

ダークでサイケで閉鎖的な世界観が大復活で、
悩み多きロバート・スミスの内省音楽が繰り広げられます。

ギター系のバンドサウンドではなくシンセサイザーの音色を中心に据え、
憂鬱なマイナーコードのメロディーがほぼ全編を支配するアルバム展開。

その中から浮かび上がる、耽美な雰囲気は、
中期 Cocteau Twins にも通ずるもので、
耽美系ダークサイケが好きな人には、たまらない一枚でしょう。

「Disintegration」は、後にConvergeもカバーした8分を超える大作。
哀愁を湛えたサウンドが美しく感動的。
でも曲が盛り上がる後半部、ロバート・スミス音程外し過ぎ(笑)。

結果、アメリカでの人気が爆発し、
キュアーはスタジアム級のメジャーバンドへとなりますが、
長期に渡るツアーはメンバーを疲弊させ、
ロバート・スミスは、ツアー最終日のロンドンのウェンブリー・アリーナで、
解散を匂わせる発言をし、物議をかもします。

またか・・・ってのが、当時の私の印象で、
永遠のほらふき青年、ロバート・スミス万歳って感じでした(笑)。

イギリスのユースカルチャームーブメントをご紹介する上で外せません。
私がリアルタイムで感じた、当時の英国の音楽シーンを感じて頂ければと思います。
http://www.rising-mini.jp/
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